食堂ラビリンス〜優柔不断なボクの憂鬱〜

昼食をとりに、食堂に入る。
この店のハンバーグは実に旨い。
頭と胃袋がすっかりハンバーグになっている。


しかし、「ハ……」と言いかけて隣のテーブルの客に運ばれたミックスフライ定食が目に入ってしまった。
アジとエビとメンチカツかな?
旨そうだな。

そういえば、ここのフライは食べたことがなかったな。
いっそのこと今日はそっちでいってみようか。
とはいえ、頭は揚げ物を向いていたのだが、胃袋がハンバーグを求めているわけで。

では、ハンバーグ定食にアジフライ単品を付けたらどうだろう。
罪悪感の免罪符、ご飯を半分にして。
そうだ。ご飯少なめだからポテトサラダを付けてもいいのではないだろうか。

待てよ、マカロニサラダもある。
どっちだ、迷うなぁ。
お、明太子か、いいね。
納豆と明太子を混ぜてご飯の上に乗せると……うん、たまらないね。

白飯にのせることを考えるなら、
ハムエッグを頼んで、
目玉焼きの一個はハムと一緒に食べて、
残りの一個はご飯にのせて醤油たらして半熟卵かけご飯的な感じにするという手もあるな……。

うわっ!
カウンターの人が食ベているカレー、旨そう!
いっそカレーにするか。カツカレーにすれば欲求も満たされるし。

いや、定食に「カレーのアタマ」と言ってる常連っぽい人もいる。
なるほど、カレーだけ別皿で出てくるわけだ。
さすがだね、真似しよう。

あ、メインの定食はどれにしようかな……。
ハンバーグを食べに来たはずのボクは、ミックスフライ定食に流されるのでした。

といった具合に、品書きの迷宮を彷徨っているときから、ささやかな幸せは始まっているようです。

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